固定価格買取制度が新制度に移行するとどう変わる?

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環境省は、「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」というものを発表しています。内容は、日本国内における太陽光発電・風力発電・中小水力発電・地熱発電のエネルギー資源量をまとめたものであり、日本は再生可能エネルギーに、大きな可能性を持っていることが明らかになっています。

とくに、風力発電と地熱発電に関しては前向きなデータが出ており、設備が整えば、かなりの電力供給が見込まれることとなります。ただし、再生可能エネルギーは設備にコストがかかるため、安定的な設備投資の見通しを立てる必要がありました。このような問題に対応すべく、固定価格買取制度は始まりました。

 




1. 固定価格買取制度は新制度に移行

固定価格買取制度は、2017年4月から新制度へ移行することになりました。固定価格買取制度は、再生可能エネルギーの導入拡大を目的に始まった制度ですが、太陽光発電を中心に導入が拡大しました。ただ、新たな課題も数多く明らかになっていきました。

例えば、急増した太陽光発電設備ですが、設備の反射光や作動に伴う音の問題、土地の所有の問題など、地域の協力を得ていかなければなりません。新しい制度はそれらの課題を解決し、国内の供給電力のうち、再生可能エネルギーによる電力が占める割合を、より増やしていくことを目標に始まりました。

2. そもそも固定価格買取制度とは

固定価格買取制度とは、2012年7月から定められた制度です。再生可能エネルギーのうち、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスのいずれかを使い、国が示す事業計画策定ガイドラインに、沿った事業計画を立てて発電した電気については、電力会社からの買取りを受けることになるというものです。

固定価格買取制度が生まれた背景には、再生可能エネルギーを利用した発電には高い費用がかかるため、導入の拡大が難しいといった課題がありました。再生可能エネルギーは、化石燃料による発電が地球温暖化の原因であることや、燃料の入手をほぼ輸入に頼らなければならないという問題点、さらには東日本大震災による原発事故をきっかけとした、エネルギー政策の見直しという観点からも、とても有効な手段として挙げられます。

固定価格買取制度の導入と引き換えに、RPS制度が廃止になりました。ただし、この制度は電力会社に対して、供給電力のうちの一定量以上を、再生可能エネルギーで賄うことを義務づけるという制度でした。RPS制度上では、再生可能エネルギーに関して自ら発電しても、他の事業者からの購入、あるいはグリーン証書の購入をしてもよいとされています。

ただし、RPS制度の成果の伸び悩みが問題視され始めると同時に、固定価格買取制度をすでに導入している国が、再生可能エネルギーの導入拡大に効果を見せていること、脱原発への意識の高まりが顕著になったことから、RPS制度から固定価格買取制度への移行が決まりました。


3. 新制度の改正ポイントについて

新制度への移行に伴い、事業計画認定という新たな点が生じました。具体的には、太陽光発電設備に対する申請手続きの流れと認定基準、認定後の変更手続、事業計画策定ガイドラインに関することです。また、事業計画認定以外にもいくつか変更点があり、詳しい内容については、項目ごとに分けて以下に解説します。

3.1. 申請手続の流れ

太陽光の発電設備においては、発電事業者が経済産業局に、紙の申請書を渡すという流れで完結していました。その後、発電事業者と経済産業局の間、にシステムを新たに導入し、システム上で承認の可否を審査してから、経済産業局へ渡すという流れに変更されました。こちらの流れは、発電設備が50kW未満以外の場合です。

50kW未満の場合は、発電設備の設置者の代行事業者が申請手続を行った場合、設備設置者に一度システムを通じて、承認の可否を審査させるという流れが、加わるという形になりました。

3.2. 認定基準

従来の認定基準に、新たに追加される基準として、発電設備の維持管理や事業者、費用や計画に関する情報を、より明らかにすることが求められるようになりました。維持管理に関しては、保守点検と維持管理の計画と責任者を明確にすることが求められます。また、事業者に関しては、発電事業を行う人の氏名などを、標識で掲げるなどの内容が挙げられます。

また、発電設備の廃棄に関する費用の計上、発電設備の所在地の登記簿謄本や、関係法令手続報告書の提示が必要になり、設備の法への適合性や、事業の確実性も問われるようになります。さらに、地熱発電とバイオマス発電に関しては、安定して継続できることを示した計画書の提示も、求められることになりました。

3.3. 認定後の変更手続

従来、認定後の変更手続に必要であった、軽微変更届出が廃止される代わりに、事前変更届出と事後変更届出が必要になります。つまり、変更手続には変更認定・事前変更届出・事後変更届出のいずれかが必要ということになります。

それらの違いをおおまかに理解するとすれば、変更内容が変更認定手続の対象以外にあたる場合は、事前変更届出が必要になり、認定事業者に関する情報に変更が生じた場合には、事後変更届出が必要というようになります。また、発電事業の廃止届出は、廃止にあたり撤去や処分をする前に、届け出る必要があります。

3.4. 事業計画策定ガイドライン

固定価格買取制度は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」に基づいています。発電事業を行うにあたっては、このFIT法とその関連法令で定められる基準と、法には定められていない部分でありながら、推奨される基準を満たす必要があるとされます。そこで、発電方法ごとにこれらの基準をふまえたガイドラインを、作成することになりました。

まず法に定められる部分は、自治体に関して計画を説明する、柵や塀を設置することなどが挙げられます。推奨事項は、地域住民からの理解を得ることや、民間のガイドラインに沿った点検や、維持管理を行うなどです。

電源ごとの特徴としては、太陽光においては民間ガイドラインに基づいた考え方と、周辺環境への配慮がメインとなっています。風力は、維持管理と気象条件の事前調査の実施に関すること、地熱はモニタリングの実施と、地域との関係となっています。

中小水力の場合は適切な手続き、バイオマスは既存事業者との関係、安定供給に関わることが意識されており、中小水力は法令や条例の中でも、水利使用に関わる手続を確実に行う必要があります。

3.5. 価格目標の設定

一般家庭の負担額の抑制と、再生可能エネルギーの導入拡大を目的に、発電コストについて電源別の価格目標を、設定することになりました。具体的な価格目標が設定されているものを挙げると、太陽光に関して非住宅用太陽光が、2020年で発電コスト14円/kWh、2030年で発電コスト7円/kWh。

風力は20kW以上の陸上風力が、2030年までに発電コスト8~9円/kWhとなっています。太陽光発電は、年単位で価格が設定されることに対し、導入から運転開始までの期間が長い地熱や風力、水力発電に関しては、あらかじめ複数年分の価格を設定することになりました。

風力発電に関しては、洋上風力発電の導入促進や、地熱に関しては大規模案件の促進、中小水力に関しては、開発地点を開拓することなどが、主な課題となりました。また、風力と地熱の発電設備には、リプレース価格という価格区分が新しく設定され、廃止予定または廃止された既存設備を、活用する場合が該当します。新たに設備を新設するコストがかからず、安定した導入ができることが、価格区分を設定した理由です。

3.6. 入札制度の導入

消費者の負担額への対策として、公的な入札機関を設け、買取価格の入札ができる仕組みをつくりました。この入札制度は、国民の負担の軽減と、入札対象の電源区分の指定ができます。また、入札の際に「入札実施指針」を定められるという条件が揃ったもとで、買取単価についての入札を実施するとしています。

2017年度の入札対象は、発電容量が2MW(メガワット)以上の太陽光発電になっており、今後も太陽光発電の買取価格に、変動が予想される動きとなっています。

3.7. 買取義務者の見直し

従来の制度では、電気の買取義務者が、小売電気事業者に限られていたことに対し、買取義務者を送配電事業者に、変更することになりました。

それにより、卸電力取引市場で小売電気事業者に供給でき、地域ごとの電力の分配に融通が利くことで、より広域な電気の供給が可能になります。

3.8. 減免制度について

電気の使用量がとくに多い事業者に対し、省エネルギーへの取り組みが優れていることなどを条件とし、電気料金に上乗せという形で、支払う賦課金の減免措置を講じることになりました。これにより、国際的な競争力を高めるという意味合いを強めることになります。


4. 固定価格買取制度の新制度のメリットとは

新制度に移行することによるメリットとして、以下のことが挙げられます。

4.1. 太陽光発電市場が透明および公正になる

固定価格買取制度が実施されると、認定を受けた発電設備の9割が、太陽光発電になるという結果になりました。その理由としては、他の発電方法と比べて、導入から運転開始までの期間が短く済むほか、発電コストの関係上、電気の買取価格が、高く設定されていたことが挙げられます。

一方で、実際は設備を稼働させていないのにもかかわらず、認定だけは受けるという、認定を悪用するケースが出るようになりました。このようなケースを減らすために、新制度では事業計画認定の中で、電力会社との接続契約ができていなければ、認定ができない仕組みに変更しました。旧制度での認定を受けていた場合は、ある一定の期間内に電力会社との接続契約がされなければ、認定が取り消されるという形になります。

しかしこの問題は、太陽光発電に限った問題ではなく、一般木材等のバイオマス発電でも、認定を悪用するケースが出る可能性が高いです。そのため、2018年から太陽光発電以外の電源にも、太陽光発電と同じ仕組みを導入することになりました。

その結果、運転開始期限は原則として、中小水力ならば7年、風力・地熱・バイオマスならば4年ということに決まりました。また、電源を問わず発電出力が増加する場合には、調達価格を出力変更後の価格にすることに統一され、設備の設置に関しても、場所の使用権原を証明する書類の提出が、求められることになります。

4.2. 一般家庭の電気代に上乗せされる買い取り費用が軽減する

太陽光発電の導入が、極端に増えていますが、電気の買取費用は、電気を利用する一般家庭の電気料金に、上乗せする形で集められています。つまり、高価な買取の必要な太陽光発電ばかりが普及すると、一般家庭の負担も増大してしまうことが問題となります。そこで、新制度では入札制度を導入し、太陽光発電の買取価格を下げることに至りました。

その一方、2018年には一般木材等バイオマスが入札対象になります。いま、バイオマス発電設備の認定が急増していますが、増加が目立っているのが、一般木材等バイオマスです。とくに、パーム油を燃料とする発電が増加しています。パーム油のような液体燃料は、発電で得られる電気の買取価格が、固形燃料と同じであるにもかかわらず、発電設備の建設費用が固形燃料よりも安いことが、理由として挙げられます。そこで入札では、パーム油に新たな価格区分を設けようとする動きが出ています。


5. みなし認定手続について

平成29年3月31日までに旧制度で認定を受けており、既に発電設備が運転を開始しているか、電力会社との接続契約を済ませている場合は、新制度での認定も受けたこととみなされます。その状態を「みなし認定」を受けている状態と呼びます。

ただし、旧制度は設備に関する基準しか設けていないため、新制度での認定に必要な、事業計画に関する基準をクリアしているかどうかを確かめる必要があります。新制度での認定を受けたとみなされた日から、6カ月以内に事業計画を提出しなければなりません。


6. 太陽光発電を検討中なら新固定価格買取制度を確認すること

固定価格買取制度の新制度への移行に伴い、発電容量の大きい太陽光発電の買取価格は、入札対象になります。また、発電設備の認定から運転開始までの期限が、発電容量が10kW以上の設備は3年、10kW未満のものは1年となっています。これから太陽光発電を検討するなら、この期間内に運転開始の準備を確実にできるようにしましょう。また、買取価格が低下する可能性があることを、念頭に置いておくことも大切です。

さらに注意すべきは、固定価格買取制度の制定直後に認定を受けた住宅用太陽光発電設備は、2019年11月以降、対象から順次外れていくことです。そうなると太陽光発電設備については、自家消費に特化させるか、余剰電力を売電にあてることになります。現在住宅用太陽光発電設備で、制度の認定を受けている場合は、今後いかに有効な方法で自家消費していくかを、考える時期に差し掛かっています。

ここで注目され始めていることが、太陽光発電と蓄電システムを、併せて利用することです。太陽光発電で得られる電気を蓄電できれば、天候にも停電にも左右されず、安定した電力が得られることになります。ただ、蓄電システムには蓄電できる電気の量に限度があり、メンテナンス上、定期的に交換する必要があることは知っておくべきです。


6.1. 太陽光発電の業者選びはナコウドがおすすめ

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